熱中症対策は食べ物から|育成年代の保護者が押さえたい食事と栄養のポイント

熱中症対策といえば「こまめな水分補給」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろん水分も大切ですが、実は「毎日の食事」も強力な熱中症予防になります。
今回は、なぜ食べ物が熱中症対策になるのかという理由から、摂りたい栄養素、練習や試合当日の食事のポイントまで分かりやすく解説します。

目次

なぜ食べ物が熱中症対策になるの?

汗で失われる水分・栄養素の話

私たちは汗をかくことで、身体にこもった熱を逃がしています。しかし、汗の成分は水だけではありません。ナトリウム(塩分)やカリウムといった「ミネラル」も一緒に流れ出てしまっています。
汗をたくさんかいた後に「水だけ」を飲み続けると、体内の水分が薄まり、ミネラルのバランスが大きく崩れてしまいます。その結果、足がつりやすくなったり脱水症状が進んだりして、熱中症のリスクが高まってしまいます。

汗と一緒に失われる主なもの
  • 水分
  • 塩分(ナトリウム)
  • カリウムやマグネシウム(身体の調子を整える成分)
  • エネルギー

だからこそ、水やお茶を飲むだけでなく、毎日の食事から「塩分」や「ミネラル」を賢く補うことが大切です。例えば、みそ汁や梅干し、夏野菜、果物などを食べるだけで、失われた栄養を効率よく補給できます。

食欲が落ちる夏こそ食事が重要な理由

夏は暑さで食欲が落ち、「お昼はそうめんだけ」「夜はアイスだけ」といった簡単な食事で済ませてしまうこともありますよね。
しかし、このような食事が続くと、エネルギーや筋肉のもとになる「たんぱく質」、身体の調子を整える「ビタミン」が圧倒的に不足します。そうすると体力が落ち、身体の熱がこもりやすくなって、熱中症にかかりやすい身体になってしまいます。
特に、部活などでスポーツをするお子さんは要注意です。運動で大量のエネルギーを使うため、栄養不足になると体調を崩しやすくなり、熱中症の危険が一気に跳ね上がります。

熱中症になりにくい体を作ろう

熱中症になりにくい身体を作るには、暑熱順化(しょねつじゅんか)を始めることが有効です。暑熱順化とは「暑さに身体が慣れること」であり、意識的に暑さに対応して体温をコントロールできる身体を作っておくことが、熱中症への備えになります。
また、熱中症の原因のひとつである脱水症状にならないために、十分な水分を蓄えておける身体を作ることも必要です。普段から適度な水分補給をしていない人は、急に体内の貯水量を増やすことができません。日ごろから意識的に水分補給をする習慣を作っておきましょう。

熱中症を防ぐために摂りたい栄養素

熱中症をしっかり予防するためには、水分だけでなく、身体の中のバランスを整える「栄養素」を食事から摂ることがとても重要です。
汗をかくと水分と一緒に大切なミネラルも失われ、脱水症状だけでなく筋肉のけいれん(足がつるなど)や、ひどいだるさを引き起こす原因になります。ここでは、夏の身体に必ず届けたい「5つの栄養素」をご紹介します。

夏の身体に必ず届けたい5つの栄養素と、おすすめの食材

栄養素主な働きおすすめの食材
ナトリウム(塩分)体内に水分を留める梅干し、みそ汁、塩昆布、お漬物など
カリウム水分・電解質バランスの維持、体温を下げるバナナ、キウイ、アボカド、納豆、海藻類など
マグネシウム体温調節、筋肉や神経の働きを支えるアーモンド、納豆、豆腐、ひじきなど
ビタミンB1炭水化物をエネルギーに変える、疲労回復豚肉、うなぎ、納豆、豆腐、枝豆、玄米など
ビタミンC免疫力のキープ、暑さによるストレス軽減レモン、ブロッコリー、キウイ、赤ピーマンなど
  • ナトリウム(塩分)|水分を体に留める
    体内に水分を蓄えておくために欠かせないミネラルです。汗を大量にかいた際に水だけを飲むと体液バランスが崩れるため、水分とともに適度な塩分補給が必要です。ただし、普段からの摂り過ぎは禁物ですので、「汗をたくさんかいた日」に意識して補給しましょう。
  • カリウム|水分と電解質のバランス維持
    ナトリウムとともに水分や電解質のバランスを整え、筋肉や神経がスムーズに動くことを助けます。利尿作用により余分な水分と熱を排出する働きもありますが、汗で失われやすく、不足すると「体がだるい」「足がつる」といった症状の原因になります。
  • マグネシウム|体温調節・ミネラルバランスを整える
    300種類以上の酵素の働きに関わる重要なミネラルで、筋肉や神経の正常な働きを支えています。ナトリウムやカリウムと協力して体内のバランスを保っていますが、不足すると足のつりや疲れが取れない原因になります。
  • ビタミンB1|炭水化物をエネルギーに変える・疲労回復
    ご飯やパンなどの「炭水化物(糖質)」をエネルギーに変える役割を持っています。夏場にビタミンB1が不足するとスタミナ切れ(倦怠感)を起こしやすくなるため、スポーツをするお子さんは特に意識して摂りましょう。
  • ビタミンC|免疫力・暑熱順化のサポート
    夏の強い紫外線や暑さによるストレスから細胞を守る抗酸化作用があります。体調を崩しやすい夏に免疫力をキープするために欠かせません。体内に溜めておけない水溶性ビタミンのため、毎日こまめに摂ることが大切です。

熱中症対策に効果的な食材・食べ物リスト

スーパーで手軽に買える「熱中症対策になる食材」と「効果的な摂り方」をご紹介します。

  1. 塩分補給に(梅干し・塩飴・みそ汁など)
    梅干し、みそ汁、塩昆布、お漬物などがおすすめです。屋外での運動や大汗をかいたときは、塩飴も手軽で便利です。料理では塩だけで味付けするよりも、味噌やしょうゆ、塩こうじなどの発酵調味料を活用すると体に優しく塩分を補給できます。
  2. カリウム・マグネシウム補給に(バナナ・アーモンド・海藻など)
    バナナ、キウイ、アボカド、納豆、ナッツ類(アーモンド)、海藻(わかめ・ひじき)などがおすすめです。特にバナナはエネルギーも手軽に補給できるため、朝食や運動後にも適しています。
  3. ビタミンB1補給に(豚肉・納豆・大豆製品など)
    豚肉、うなぎ、納豆、豆腐、枝豆、玄米などに多く含まれています。暑い日でもつるっと食べられる「豚しゃぶサラダ」や「納豆ご飯」がおすすめです。
  4. 食欲がないときに選びたい食材(酸味・香りで食欲増進)
    夏バテ気味のときは、レモン・お酢・梅干しの「酸味」や、大葉・みょうが・生姜の「香り」を効かせると食欲が湧いてきます。そうめんや冷やしうどんを食べるときは、「+豚しゃぶ」「+卵・ツナ」「+冷奴」など、たんぱく質を1つプラスして栄養バランスを整えましょう。

熱中症を防ぐ食事の摂り方・タイミング

「何を食べるか」と同じくらい、「どう食べるか」も重要になります。毎日の食事を少し工夫して、暑さに負けない身体をつくりましょう。

  1. 朝食を抜かない
    寝ている間にも汗をかいているため、朝起きたときの身体は脱水状態にあります。朝ご飯を抜いて出かけると熱中症のリスクが高まるため、ご飯、みそ汁、果物などで水分と塩分をチャージして出かけましょう。
  2. 汁物で水分と栄養を同時に補う
    みそ汁やスープは、水分・塩分・野菜の栄養を一緒に摂れる熱中症対策メニューです。暑い日は「冷やしみそ汁」や「冷製スープ」にするのもおすすめです。
  3. 冷たいものの食べすぎ・飲みすぎに注意する
    アイスや冷たいジュースばかり食べていると、胃腸が冷えてさらに食欲が落ちる悪循環になってしまいます。冷たいものを楽しむときは、常温の飲み物や温かい汁物も一緒にとりましょう。
  4. 水分は「1日1.5L・8回に分けて」が目安
    のどが渇く前にこまめに飲むことが鉄則です。以下のタイミングを目安に、1日8回に分けてちょこちょこ飲む習慣をつけましょう。

    ※大量に汗をかく場合は、さらに多めに補給しましょう。

練習・試合当日に意識したい食事と補食

夏場のスポーツは大量の汗をかくため、熱中症のリスクが跳ね上がります。当日は目的に合わせて食べるものを変えていきましょう。

運動前・運動中・運動後のタイミング別ポイント

タイミング意識したいポイントおすすめの食材・補食
運動前
(2〜3時間前)
エネルギー源となる炭水化物を中心にしっかり食べるご飯、おにぎり、食パン、うどん、バナナなど
運動中のどが渇く前から水分と塩分、エネルギーを補給スポーツドリンク
運動後
(できるだけ早く!)
疲れを残さないために「炭水化物+たんぱく質」をセットで摂るおにぎり+牛乳、サンドイッチ+ヨーグルトなど

「補食」のタイミングや目的について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

スポーツドリンクと経口補水液の違いと使い分け

  • スポーツドリンク
    糖質が含まれており、運動中や運動後の水分・エネルギー補給に向いています。
  • 経口補水液
    熱中症や脱水症状が「疑われるとき」に使う緊急用の「飲む点滴」です。日常的に飲むものではなく、体調が悪いときに最速で水分と塩分を吸収するために利用しましょう。

熱中症になってしまったときの食事・NG食材

熱中症の症状が現れた場合は無理に食事を摂らず、身体を冷やして水分と電解質を補給することが最優先です。意識がもうろうとしている場合などは速やかに医療機関を受診しましょう

症状が出たらすぐ経口補水液を

熱中症が疑われる場合は、以下の応急処置を行います。

  1. 涼しい場所へ移動する
  2. 衣服を緩める
  3. 首・脇・足の付け根などを冷やす
  4. 経口補水液で水分と電解質を補給する

食事ができる状態であれば、おかゆやうどん、スープなどの消化の良いものから少しずつ食べます。

熱中症時に避けたいもの(たんぱく質・アミノ酸入りドリンク・カフェイン)

症状があるときは胃腸が弱っており、以下のようなものは症状を悪化させるおそれがあるため控えましょう。

  • たんぱく質の多い食品・アミノ酸入りドリンク・牛乳
    (たんぱく質は代謝の際に体温を上げてしまう可能性があるため)
  • コーヒー、エナジードリンク、アルコール類
    (利尿作用により脱水症状を進めてしまうため)

体調が回復し食事が摂れるようになってから、肉や魚などのたんぱく質を取り入れて体力を回復させていきましょう。

まとめ|毎日の食事が、夏の部活を支える

熱中症を予防するためには、「水分補給だけすれば大丈夫」と考えず、毎日の食事で必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。
汗で失われる水分やミネラルを補い、エネルギーやビタミンをバランスよく摂取することが、暑さに負けない身体づくりにつながります。
毎日の食事は、夏の部活動を頑張る子どもたちのパフォーマンスを支える大切な土台です。食事・水分補給・十分な休息を組み合わせて、厳しい夏の暑さを元気に乗り切りましょう!

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この記事を書いた人

【資格情報】
管理栄養士
サプリメントアドバイザー

【経歴】
和洋女子大学 家政学部 健康栄養学科 卒業
(スポーツ栄養学ゼミ所属)

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